イジワル上司に甘く捕獲されました
クリスマスが過ぎて、慌ただしく年の瀬がやってきた。

潤さんが私の好きにしていい、と言ってくれた指輪は。

仕事中はネックレスに通して身に付けていた。

出勤時と帰る時には指にはめ直して。

私達は三十日まで仕事で、真央に至っては三十一日まで仕事だった。

そのせいか、意外にも普段通りな毎日を送っていた。

出来るだけ空いている時間に掃除をしたり買い出しをしたりはしていたけれど。

お正月は真央もすぐ出勤になるし、今年のお正月休みは短いためにおせち料理は小さなものを買うことにした。

お雑煮だけは母が送ってきてくれた白味噌で作ることにして。

潤さんは実家に年始は少し戻ると言っていたので。

潤さんが実家に戻る前に二人で近くの神社に初詣に出掛けた。

普段そんなに人通りが多くない駅なのに、この時ばかりは人で溢れていて。

十二月に入って増えた積雪も、ある程度綺麗に除雪されていて。

実家では見ることがなかった札幌の冬の風景に驚く私を、潤さんは終始にこやかに見つめてくれていた。

凍った道を手を繋いで歩くことも。

雪が舞う道も。

二人でゆっくりとお詣りすることも。

何もかもが新鮮で嬉しくて。

ただただ、こんな毎日がずっと続きますように、彼と一緒に過ごせますようにと願った。
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