イジワル上司に甘く捕獲されました
「ううん、美羽ちゃんは全然よ。
本当に意識ある?ってぐらい寝込んじゃっていたもの。
瀬尾さんがね、すっごく心配して、随分遠い席にいたのに駆けつけてきてね……」

「そう、ビックリしたわ。
心配そうに抱き抱えてね、来たばかりなのに。
桔梗さんが代わりに送っていくよって言っても、自分の部下だしって譲らなくてねえ。
正直、あんな瀬尾さんを見たのは皆初めてで、唖然としたくらい。
瀬尾さんって優しいねって、またポイントが上がってたわ」

二人はキャアキャア盛り上がって話を続けてくれるけれど。

私はお姫さま抱っこをしてもらったことも思い出して、真っ赤になってしまった。

さらに。

昨日。

二人でお昼ご飯を食べたこと、帰りに耳元で囁かれたことを一緒に思い出してしまった。

……本当に瀬尾さんはイチイチ距離が近い。

きっと私の反応を面白がっているのだと思うけれど。

昨日の帰りも。

私の髪から手を離した後。

驚くほど魅力的な笑顔を浮かべて、真っ赤な顔をしている私を見送ってくれたくらいだ。

……優しいのか素っ気ないのか本当にわからない。

ただ、私の心拍数を無駄に上げることはやめてほしい。

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