イジワル上司に甘く捕獲されました
「……だって。
良かったね、美羽ちゃんっ」

いきなり私の両手を握って大袈裟なくらいに喜ぶ真央。

「へっ?」

「やだ、美羽ちゃん。
聞いてなかったの?」

呆れ顔の真央。

「瀬尾さんに私が留守の間、美羽ちゃんのお世話をお願いしたの」

名案でしょ、とウィンクする真央に固まる私。

「……橘姉、妹さんは本当にしっかりしているな」

今日は眼鏡をかけていない瞳を細めて面白そうに私を見る瀬尾さん。

「とにかく、お姉さんが心配だそうだから。
どっちの曜日がいいかはその週に決めるってことでいいか?」

「はい?」

「それも聞いてなかったのか……妹さんからの申し出で、特に予定のない週末は食事を一緒にすることになったんだよ」

「……誰と誰が?」

「俺と橘姉」

……?

私の頭がハテナマークでいっぱいになって。

「良かったね、美羽ちゃん。
これで安心だわ。
美羽ちゃんに彼氏がいたら彼氏に頼むのだけど……いないからなあ」

「ち、ちょっ、真央!」

慌てて真央のおしゃべりな口を塞ぐ。

な、何をばらしてくれてるのよ、しかも、何?

どうして、私が瀬尾さんと、曲がりなりにも上司と週末ご飯になるの?

そんな私の心の叫びが届いたのか、瀬尾さんはフッと妖艶に笑って。

「妹さんに頼まれたからな。
ちゃんと面倒見てやるよ」

と、一言。

「いえ、えっと、瀬尾さん。
いいです、いいですっ。
瀬尾さんにもご都合おありでしょうから!
しかも、瀬尾さん、そういうの面倒臭い人じゃなかったですかっ?」
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