イジワル上司に甘く捕獲されました
「ちょっと何でここ!」

大声をあげて抗議する私に。

「だって、今から伺いますってお願いしたんだから。
もう、別に上がり込む訳じゃなくて挨拶するだけなんだからいいじゃない。
気にしない、気にしない」

笑顔でかわす真央。

私の反対をアッサリ押しきって玄関の呼出しボタンを押す。

開いたドアから顔を出したのは。

……休日もどんな時もやっぱりカッコいい私の上司、瀬尾さん。

そう、私はまた瀬尾さんの自宅前にいる。

「こんにちは、瀬尾さん。
突然、すみません。
あの、どうしてもお願いしたいことがありまして……」

満面の笑顔で話し出す真央。

……そんな可愛らしいキラキラな笑顔の時は絶対何か企んでいるのよね、真央は……。

「私、再来週から海外研修で数ヶ月いなくなるんです。
年末年始には帰国する予定なんですけれど……。
本来ならこんなことお願いするのは厚かましいと重々承知しているのですが……他に頼れる方もいないので……」

「……」

少し困惑気味の瀬尾さん。

玄関ドアにもたれかかったままで黙って話を聞いている。

デニムのハーフパンツに黒い半袖シャツのラフな格好をしている。

普段は見ることのない瀬尾さんの綺麗な形のふくらはぎにドキドキしてしまう私はやっぱり意識し過ぎなのだろうか。

……どこもかしこもキレイに整っているなんて本当に羨ましい。
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