イジワル上司に甘く捕獲されました
「美羽ちゃん、大丈夫だから。
佐野さん?だっけ?
あの人は潤のタイプじゃないし。
俺も初めて会った人だしさ」

「いえっ、私……」

然り気無くフォローしてくれる桔梗さんに俯く私。

「潤のこと、気になっているでしょ?」

軽く目を細めながら、テーブルに頬杖をついて正面から私を見つめる桔梗さん。

桔梗さんも一般的に見たら、本当にカッコいい男性だ。

仕事もできて、女性の扱いにも慣れていて。

おまけに服のセンスもいい。

そんな人がこんなに近くにいて見つめられているというのに、私の心臓は通常作動で。

頬が熱を持つこともない。

今更ながら、その事実に気づいてしまう。

「本当に美羽ちゃんはわかりやすいね。
顔に全部出てる。
よくそれで潤にバレてないよね。
まあ、潤も大概だけど」

頬杖をついたまま苦笑する桔梗さん。

「あの……私……」

言葉に詰まって同じような返答しかできない。

こういう時は何て言ったらいい?

今、気付いたことが有りすぎて、頭がついていかない。

「別に無理に聞き出そうとしてるわけじゃないからさ。
ただの俺の興味心」

楽し気に瞳を踊らせて微笑む桔梗さん。

「……まあ、でも。
潤はモテるからなぁ。
外面いいからさ~。
美羽ちゃんが心配になるのもわかるけど。
俺も大抵モテるんだけど……美羽ちゃん、俺のことは全く意識していないよねぇ」




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