断罪アリス
「コトリ君?」
でも、俺を呼ぶ彼女の声が聞こえた。
『チッ。邪魔が入った……』
声が消えてくのを感じると共に、遠くなりかけた意識が戻ってくる。
「危なかった……」
危なく≪俺≫に意識を持っていかれる所だった。
俺は頭を軽く振ると、名前を呼んでくれた彼女を見た。
「大丈夫、コトリ君?」
この声のお陰で俺は戻って来れた。
「ありがとうございます、アリスさん」
お礼を言うと、彼女は「何が?」と言うように首を傾げる。
そんなアリスさんの反応に苦笑すると、俺はリビングの救急箱から絆創膏を取り出して切った指に巻き付けた。
怪我にも気を付けないとな。
油断したら、≪俺≫がその隙をついて出てきてしまう。
気を引き締めなくてはならない。
絆創膏を巻くと、その手を強く握り締めた。