断罪アリス
「コトリ君ー、お腹空いたー!」
すると、キッチンからアリスさんの声がする。
「早く来ないと私が作るよー!」
「「アリス、それだけは止めて!」」
「天河、早く作れ!死人が出るぞ!いや、キッチンが壊されるぞ!」
声をハモらせてアリスさんを止める風間さんと一飛さんに、焦りながら俺の方を見る羽取さん。
死人が出るとかキッチン壊されるとかどんだけだよ、アリスさん……。
そう感じながらキッチンに行くと、目の前の光景にぎょっとする。
「ア、アリスさん!?そんなに分厚く剥いたら使う部分が無くなりますよ!?」
アリスさんは生姜の皮を剥いていたのは良いのだけど、皮が分厚すぎて使う部分が無くなりそうな勢いだった。
「えー」
「えー、じゃないです!って、包丁の先を俺に向けないでください!危なっ!」
「じゃあ、生姜がじゃなくて茄子切る」
「そ、それは切るって言いません!刺す、です!あぁ~、俺がやりますからあっちに行っててください!」
うん、アリスさんにもう二度と包丁は握らせない。
その前にキッチンに入れない。
そう心に決めるほど、アリスさんの包丁使いは恐ろしかった。