断罪アリス
「目の前?あ……」
なず姉と目が合った。
ずっと目の前にいたのに気付かないところを見ると、なず姉は余程俺を心配していたらしい。
「なずね──」
名前を呼ぶ前に俺はなず姉の腕に痛い程の力で抱き締められた。
そして、離されたかと思うと今度は両頬を手で包まれ、顔を覗き込まれる。
「天河、怪我は?してない、良かった……」
ホッとしたように肩を落としたなず姉はコツンと額をぶつけてきた。
頬を包まれる手は微かに震えている。
「心配かけてゴメン……」
謝れば、なず姉は「無事なら良いんだ」と穏やかに笑った。
「なっちゃんの意外な一面に見ーちゃった♪」
能天気な声に横を向けば、藤邦さんが指で丸を作ってそこから覗くように俺達の方を見ていた。