Spice‼︎
梨花は風間の部屋に戻ると

「シャワー浴びるね?」

といきなりバスルームに入った。

風間は何となくその様子が気になった。

梨花がバスルームから出るなりまるで尋問のように攻め立てた。

「遅かったですね?

お酒誰と飲んだんですか?」

もしかして桐原と居たのではないかと不安で仕方がなかった。

「1人でよ。ヒロくんの店で…

嘘だと思うならヒロくんに聞いてみれば?

閉店後少しだけヒロくんと飲んだけど…」

「梨花さん…今夜はここで過ごしてって約束しましたよね?」

梨花はそんな風間にイライラした。

「だから帰って来たじゃない。

風間くん、変わったよね?」

風間はそう言われて腹が立った。

「誰が僕を変えたと思ってるんです?

梨花さんにまた苦しんで欲しくないからです。

桐原さんにはもう別の人が居るってわかってるでしょう?」

「もういい!」

梨花は風間が止めるのも聞かず、
濡れた髪のまま風間の部屋を飛び出した。

風間は追いかけて梨花の腕を掴んだが
それを振りほどいて梨花は自分の部屋に戻った。

風間が自分を心配してくれてるのはわかってる。

桐原にはもう麻美がいるのに…

それでも桐原が麻美との仲を否定すれば
それを信じたくなってしまう。

だからと言って桐原とやり直す気はない。

またあんな風に傷つけられたら壊れてしまう。

風間がいるから乗り越えられたのに…
そんな風間を重たく感じている今の自分も嫌だった。

部屋で一人泣いていると
桐原から電話がかかってきた。

梨花は声が聞きたくてその電話を取ってしまった。


< 213 / 265 >

この作品をシェア

pagetop