Spice‼︎
「梨花さんて…変わってますよね?」

「どこが?」

風間が梨花の横に寝転んだ。

「一人の男じゃ物足りないって事です。」

「人を何だと思って…」

「桐原さんみたいな男に振り回されたくて
僕みたいな男を振り回したい。

それでバランスを保ってる。

だったら土方さんは何なんですか?」

梨花にとって土方は恋愛に溺れないように守ってくれる砦みたいな感じだった。

「砦かな。」

「砦…ですか?」

「うん。」

梨花は愚かだ。

一人の男を愛する喜びを知らない。

「梨花さん、もし僕が梨花さんのオモチャを辞めたらどうなりますか?」

「また新しいオモチャを見つけるから心配しないで。」

そんなものはきっと見つからない。

風間みたいなオトコなんて滅多にいないから。

梨花だってそれはわかってる。

「誰もオモチャなんか務まりませんよ。

みんな独占欲とか、嫉妬とか…そんなモノで梨花さんを縛るから。」

「風間くんには嫉妬も独占欲も無いの?」

風間は梨花に顔を向けると髪に触れながら
唇を合わせる。

「ありますよ。ホントは嫉妬も独占欲もあります。

でも…いつからか桐原さんに抱かれた後の梨花さんに欲情してる自分に気がついてしまった。

梨花さんが桐原さんと会ってる間、
嫉妬とか、怒りとかが入り混じって…
切なくなればなるほど…恋しくなるんです。」

梨花はそれを聞いて思わず吹き出してしまった。

「私たち三人て…絶対おかしいよね?」

梨花につられて風間も笑いだした。

二人で大声で笑って
そして…抱き合った。

このままでは居られないけど…
今はまだ離れたくなかった。





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