ある日、ビルの中、王子様に囚われました。

「はいはい。俺がいたらネコ被れないもんね。あんなストレスの森によくもまあ幼馴染を投げ入れさせるな」
「それが貴方の仕事だからね。いってらっしゃい」

背中をぐいぐい押して、まだ文句を言っている新澤さんをドアの向こうへ追いやってしまった。
私の前でエスコートしてくれる天宮さんの行動が少しだけ子どもっぽくなった気がして、意外な一面が垣間見えた気だする。

「書類はチェック待ちです。データも副社長に送ってます」
「助かります。ありがとうございます。チェックしたら後はこちらで処理します」
「では自分は下のフロアに戻りますので何かありましたらよろしくお願い致します」

酒崎さんも居なくなったと思ったら、丁度タイミングよく珈琲が私の目の前に置かれた。
角砂糖の形がピンクや赤色の花で可愛くてまじまじと見てしまった。
「ありがとうございます!」
「いえ。社長ですが今日は明良さんと面会されていまして回復は順調ですよ」
「お兄ちゃんとって、え?」
「私はお二人の事も存じ上げています。プロポーズの事も。知らないのは御姿だけでございました」

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