ある日、ビルの中、王子様に囚われました。
破綻した顔は、この社長室に入ってきた時のきりっとした怖そうな要素は無く、優しいお祖父さんって感じのホッとさせる温かい笑顔だった。
「よ、良かったです。何を言っても私余計なことを言ってしまいそうでどうしようかと思っていました」
「副社長は誰にも相談されず、いきなり貴方を浚うと言いだしましたので私も驚いてました。何かあったら言ってください。副社長に意見できるのは私か社長ぐらいなので」
にこにこ笑って下さって私も笑い返すと、天宮さんがわざとらしい咳払いをした。
「では明日、社長の面会を希望します。俺と咲良さんで」
「了解致しました」
「あと、彼女に仕事を教えてやってくれないか? 俺ももうすぐ会議と言う名の醜い争いに参加しないといけないので」
「畏まりました」
いすぐに黒岩さんは電話の子機を手に持つと私の前に置く。
そして奥の棚の引き出しから何か次々と取り出していく。
「あの……天宮さんも会議に行かれるんですね。私、本当にお邪魔だったのに、ずうずうしくすいませんでした」
「いや、黒岩と一緒に居てくれた方がもっと安心できる。俺が願っているのはただ一つ。あの会議に君が巻き込まれない事だけ」