ある日、ビルの中、王子様に囚われました。



うじうじゴロゴロと寝返りを打って、寝つけたのは朝方近かったと思う。

そんな私の不安を増幅させる様なけたたましい音が、部屋中に響く。

アラームなんてかけて寝たっけ?
急いで起きて止めようとして、サイドテーブルに手を出してまだ開かない目で探す。

すると、テーブルからカツンと何かが落ちた。

目を擦ってそれを取ると、銀色のフレームの眼鏡だった。

眼鏡……。

眼鏡!?

ガバッと起き上がりベッドを見たけど、当然私だけ。

けれど、私が混乱に生じて握ったスマホは私のではなく。
サイドテーブルにはハンカチの上に高級そうな時計まで置いてある。

ギギギと錆つくように恐る恐る首を回して部屋中を見渡すと、ソファで彼を見つけた。

眼鏡をしていない、前髪がちょっと乱れて幼くなった彼が無防備に眠っている。


「あ、天宮、さん?」

恐る恐る名前を呼ぶと、『んん』と小さく呻いて顔を腕で隠してしまった。

……残念。無防備な天宮さんが見たかったのに。
というか、なんで貴方がここに?

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