ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
「え?」
「デートだったの?」
口調がとげとげしくなっていく。
嫉妬だ。
わかってる。醜い、これは嫉妬。
「な……」
奈央さんは絶句して、勢いよく首を振った。
「そっそんなんじゃないわよ! 和馬さ……し、新条さんは、前から仕事でお世話になってる広告代理店の方でっ」
奈央さんの口から、他の男の名前が出ただけで、
こんなにも妬いてしまうなんて。
オレの独占欲は、かなりの末期症状だ。
「へぇ。ただの仕事相手を下の名前で呼んじゃうんだ? で、相手には『奈央ちゃん』って呼ばせて? ずいぶん仲いいんだね」
言葉から、温度が失われていく。
感情が、欠落していく。
「っ……た、拓巳には関係ないでしょ」
思いがけない拒絶に、心がついていかずに、プスプスと煙を上げて焦げ付き始める。
どこにこの気持ちをぶつけていいのかわからずに、
オレは途方に暮れた。