ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
「ちょ……あのさ、それはオレのセリフなんだけど」
互いの苛立ちが、奈央さんとオレとを隔ててしまう。
遠ざけてしまう。
「だから、言ってるでしょ。新条さんはただの仕事仲間なのっ」
「じゃあ、他には? 他にも、男から誘われたことあるんじゃないの? 食事にいったりさ?」
例えば中里さんの、あの艶のある声音で、一体どんな風に口説かれたんだ?
「仕事してれば、そりゃ話くらいするでしょ。打ちあわせとか、打ち上げとか、食事することもあるわよっ」
奈央さんが遠い。
パソコン画面越しみたいに。
いや、それよりも。
奈央さんの心が、遠くにあるような気がする。
嫌だ。
こんなの。
こんな風に言い合いたくて、帰ってきたわけじゃないっ!
オレは奈央さんの腕をつかんで、ドアに押し付けた。
「ちょっ……」
そして無理やり仰がせて、唇を奪う。
「っ……なにすっ……ん!」