なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
「センパイ?」


「………今日っっっっ!!!」


「?」


「……ほ、放課後、委員会ないから……」


「は?知ってっけど」


「ないから……から…………なんか、奢る」


聞こえなければいい。


蚊の鳴くような声でそう言ったのに、長瀬は絶対にそれを聞き逃してはくれない。


分かってた。


分かってたけど–––––。



「…それって……」


長瀬が、背を向けていた私の顔を覗き込んで。


「デートの誘い?」


意地悪く口角を上げてくる。



–––––死ぬほど恥ずかしい。


「顔真っ赤」


「ち、違うよっ!!!デートじゃないから!!奢ったら即解散だから!!」


「そっかー。へー。ふーん。楽しみにしてる」


「本当違うんだからねっ!?!?」


嬉しそうに顔緩ませやがって。


コイツってこんな表情豊かだった?


長瀬の知らなかった姿を知るたびに、高鳴る鼓動がくすぐったい。





–––––だけど、


ヤンキー長瀬の知られざる姿がこうして露わになり始めたせいで、この後とんでもなく面倒臭いことに巻き込まれていくことなろうとは。



この時の私は、まだ知る由もない。





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