下手くそな恋を泣きながら
「ゴールデンウィークに、彩葉が俺の前に現れた時、正直、大人になった彩葉を見て驚いたよ。
俺の中で彩葉は、卒業したあの頃のまま時間が止まってて。
まるで、未来から君がタイムスリップしてきたんじゃないかと思った。
俺も歳をとったんだから、彩葉だって当たり前に大人になってるねに。
おかしいだろ?」
「私は先生があの頃とちっとも変わってなくて逆に驚きましたよ?」
「その前・・・最後に会ったのはいつだったっけ?
彩葉、高校に進学したあともちょこちょこ遊びに来てくれてたよな?」
最後に会った日
それを聞いて頭に浮かぶ先生の結婚式。
私は、笑いながら誤魔化した。
「・・・さあ?いつだっただろ。私も高校生になってから忙しかったし。」
「どうせ、彼氏でもできて来なくなったんだろ?」
からかうように笑うその言葉を聞いた瞬間
油断していたのか
突然、あの頃の感情が押し寄せたのか
込み上げる気持ちが喉を熱くさせる。
「先生だって・・・結婚して舞い上がって
″元″教え子のことなんて忘れてたんじゃないですか?」
気力だけで笑い飛ばすと
「そんなことないぞ。
・・・そういえば、彩葉、結婚式来てくれたよな?
お礼が言いたかったのにそれからめっきり会いに来なくなりやがって・・・
てことは・・・最後に会ったのは俺の結婚式か?」
一人言のように思い出すように言葉に変わる記憶は
残酷な矢のように
この胸を突き刺す。