下手くそな恋を泣きながら


もしも

そうだとしたならば

もしも

あの日、会社の外で

プライベートで出会うのが運命だったなら


どうして

春坂先生ともあの日、再会してしまったんだろう。

全てが繋がっていて

全てに意味があるのだとしたら

私はどの道を歩いていけばいい?



「部長・・・私・・・まだ自分の気持ちが分からない。」

顔を附せて視線を逸らした。

部長はそんな私の頭をぽんぽんと軽く叩く。

「そりゃそうだ。

分かってる。

けど、俺もお前に素直な気持ちを伝えたかった。

自己満かもしれない。

お前を苦しめてるかもしれない。

それでも、あいつに一途なお前を・・・

傷つくお前を支えられるのは俺しかいないだろ?」


優しく笑う。

真っ直ぐにその気持ちに答えてあげれないのに

部長を好きだと言ってあげれないのに

どうしてこんなにも

温かくて、穏やかな愛情の形があるのだろう?

誰かの代わりとか

そんなんじゃなくて

部長のくれる優しさに

溺れてしまいそうになる。


私はいつか

その優しさを返してあげることができるかな?


きっとあなたは、そんなもん要らないって言いそうだよね。


私も

素直な自分の気持ちと向き合いたい。

素直になれたなら

本当の気持ちが・・・見つかるかな?


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