下手くそな恋を泣きながら


そんな私を見て、くすくす笑う。

そんな部長が

優しすぎて大好きなんだ。

勿論、人間性がね。



「じゃあ、飯でも食って帰るぞ?」

「おごりですかっ⁉」

「・・・いちいち聞くなよ。部下におごってもらうなんて俺のプライドが許さん。」

「やった!!中華?イタリアン?和食?洋食?」

「・・・すぐそこにらーめん屋があったぞ?」

「・・・餃子つけてもいいですか⁉」

「好きにしろよ。・・・安上がりだな。

普通女はらーめんなんて言われたら、そんな安い店に連れてくなとか、ごねるもんじゃないのか?」

「じゃあ、お言葉に甘えて、駄々っ子しちゃってもいいですか?」

「いや、やめとけ。

お前はらーめんで充分だ。」

「失礼な!!」

「悪い意味じゃないぞ?らーめんみたいに素直で真っ直ぐという意味だ。」

「・・・縮れ麺だってありますけど?」

「もう喋るな」


言われた通り、口を閉じて、部長の顔を見上げると、それに気付いて優しい笑顔をくれる。


「・・・喋りたかったら喋ってもいいからな?」

歩き出した部長の背中を追いかける。

「歩き疲れましたー。

駐車場までもたないかもー。」

棒読みでわがままを言ってみる。

「じゃあ先に帰るからその辺で倒れとけ」

優しくない言葉と裏腹に、優しい声色。


初めてちゃんと気になった。

なんで部長がまだ・・・結婚しないのかを・・・。




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