お見合いですか?
「なんか、支社長って、外面良いから、モテるんだろなぁと思って。」 

「うーん、確かに、そういう噂は結構聞いてきたね。」

「やっぱりそうかー。なんか、イヤになっちゃったー。」
そう言ったら、「何が嫌になったの?」と林さんに訊かれた。
林さんと、井川君も、昼休憩に、きたらしい。


井川君は、この会社で一番若い。まだ2年目らしい。支社長よりも彼のほうが塩顔だと思う。
あっさりした感じ?

 「ああっと、支社長がモテるから?」となぜか疑問系で、有希さんが答えた。
 「ああ、そっかぁ。今日撮影だったけ?それで、何かあったの?森高さん」林さんが聞いてくる。
「お茶淹れてきますね」
 
 逃げてきた。
今の時期は事務仕事が多く、みんな、お昼を社内で食べる事が多い事を、今、知った。

 はぁ、帰ってきたのが私だけってことは、支社長はどうしたのか、とか聞かれる流れでしょ。ああ、面倒くさー、1人で食べてくれば良かった。

「はい、どうぞ」
と言いながら、2人の前にお茶を置いた。
話題が逸れてないかなぁと思ったけど。
「支社長ってそんなにモテるんですか?」
と井川君が聞いていた。
ちぇっ、話題は継続中らしい。

「顔が良いからね~。本性知らなきゃ、良いなぁって思っても仕方ないよね。」と、有希さんが答えていた。
 確かに、顔はいい。ぱっちり二重で、鼻も高い、小顔だと思う。笑うと可愛い。身長もそれなりにある。
でも、社内の人間は知ってしまっている。
普段から、無愛想だし、怖いし、何より、仕事に関して厳しい。
初日からダメ出しの嵐だった。
電話対応とか、計算の仕方とか、色々。
しかも、いちいち、ため息吐きながら、そんなことも分からないの?みたいな態度で言ってくるものだから、腹が立つ。
そんな彼を知れば、百年の恋も冷めるだろう。
なので、今日、外面の良さを知って、愕然とした。

 「で、なにがあったの?」
林さんが、ストレートに聞いてくる。
 「まぁ、女の子と腕組んでただけです。」
「へぇ、それで、1人で帰ってきたの?」
「そんなところです。」
「はぁー、悠斗も何かんがえてるんだか・・」
林さんは、深い溜め息を吐いていた。
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