お見合いですか?
 はぁ~、なんで俺、こんな役引き受けてるんだろう。

 森高さんとの話し合いの結果、俺が悠斗に探りを入れる事になった。
しかも、森高さんは今日、うちに泊まるらしい。よって、一応、昼飯を持って悠斗の部屋の前まで来た。
ああ、どうか、出掛けてますように。
祈りながら、チャイムを鳴らした。

 出掛けてなかったかぁ。

 ダイニングで、悠斗に昼飯を渡しながら、話始める。
「森高さんは、今日うちに泊まるってさ。夕飯は適当に宜しく、だそうだ。」
「悪かったな。康太も巻き込んで。」
悠斗が、珍しく殊勝に謝ってきた。
「どうしたんだ?お前?なんか、、らしくねーぞ。」

 ダイニングテーブルに向かい合って座る。
そして、長い溜め息を吐いたあと、漸く話だした。

 「何か、急に指輪とか、結婚発表とか決められてて、正直ついてけなくなったつーか。
はぁ~、俺、逆の立場になって、初めて解った、愛実の気持ち。」

「何が、解ったんだ?」

「んん、だからさぁ、外堀から埋められてく感じ?なんか、意外と嫌なもんだな。」

「それで、森高さんに、結婚する気が無くなったって言ったのか?」
「いや、する気が無くなったとは言ってねーよ。ただ、このまま流されていいのか、どうか・・・」



 
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