お見合いですか?
 「大丈夫ですか?」覗き込んでくる彼女の顔が、心配そうにしている。
ふらふらとする体で、なんとか立ち上がった。
隣で兄貴が体を支えてくれた。
楽なので、そのまま歩く。
「ほら、靴はけ。」と、世話を焼いてくれる。
こんなに飲み過ぎたのは、兄貴のせいなので、そのまま兄貴に甘えた。

 「森高さん、車だったよね?悠斗の事お願いしていい?」頭上で声がした。

 気付けば車の中にいた。
「悠斗さん、悠斗さん!大丈夫ですか?」
隣から聞こえる声に、ハッとした。
「ああ、悪い、寝てた?」
「はぁー、取り敢えずこれ飲んでください。」
ペットボトルの水を渡された。
開けて、半分程一気に飲んだ。
「はぁーー。」
いくらか、意識がはっきりしてきた。

 「悠斗さんの実家に送ればいいんですか?」
彼女シートベルトをしながら、聞いてくる。
「いや、駅前のホテルに部屋とってある。」
「わかりました。」
彼女が、車を発進させた。

 「うわー、ひろーい。もしかして、スィートルーム?」
愛実は、部屋に入るなり、はしゃぎだした。
 取り敢えず、冷蔵庫から水を取り出し、ソファーに座りながら飲む。

「大丈夫ですか?」彼女が窓から振り返って言う。
「ああ、だいぶ良くなった。」
車の中で休んだからか、少し酔いが覚めたように思う。

 今日、受け取った小箱を手にして、彼女の元へ近づいた。
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