お見合いですか?
 親友というより、従兄弟で腐れ縁の悠斗に協力するって言ってしまった以上、森高さんがどうして悠斗の事を聞き回っているのか?それを聞き出すのは、自分の役目だろう。

 先程、森高さんが戻ってきた。
悠斗が居ないので、有希が早速話しかけている。
「お疲れ様ー、どうだった?」
「有希さん、お疲れ様です。ちょっと、課題が多そうです。」
「最初はそんなもんだって。」と、有希が励ましている。
「ですよねー。」
「課題って?」と仕事の話しをしてみる。
「うーん、やっぱ、とんかつがメインなんで、そこの改善が必要ですね。ミートソースもやっぱり、こくが足り無いんですよね。」
 彼女はとても、仕事熱心だ。改善点をまだ話している。
仕事の話しを振るんじゃなかったかな?
「じゃあ、報告書まとめますね。」と言って、勝手に話しを終わりにした。
うーん、有希に頼んだ方がいいか?

 定時後、トイレに行くふりして、フロアをでる。暫く待ってると、有希が出てきた。

 「お疲れ有希、あのさぁ、森高さん、悠斗の事何か言ってた?」
「えっ?何で?」
「ちょっと、親父が心配しててさ、森高さん何か悩んでるみたいなんだよね。」さすがに、悠斗のことを聞き回ってるとは、言えない。
有希はわかりやすい、そう言ったとたんに、あっ、という表情をした。
「お前、なんか言ったろ、森高さんに。」
問い詰めると、前にいた派遣の女の子の事を話したと言った。

 有希を見送った後、フロアに戻り、彼女を探した。タイムカードを押した後、彼女は車で帰る時は、悠斗を待っているので、大体給湯室にいる。
 「森高さん、今日親父に何か話した。」
案の定、給湯室にいた彼女に訪ねた。
「何かって、、?挨拶はしましたけど・・・」
なんだか、歯切れの悪い感じだ。
「いや、親父がなんか様子が変だって言ってたから。」
「えっ、林さんのお父様が、そう言ったんですか?本当に?」

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