副社長と愛され同居はじめます
成瀬さんはその日一日、何かと私の様子を気にした。
梨沙さんと遭遇させてしまったと、自分を責めているのかもしれない。
帰りの車の中でも。
「小春、どこか食事にでも行くか」
「いいよ、沢さんのご飯が食べたい」
「じゃあ、ケーキでも買って帰るか?」
「変なの。なんでそんなに気を遣うの」
ふふ、と苦笑いしながらそう言うと、彼は少し、バツの悪い顔をする。
「俺が、梨沙のことを黙っていたから、嫌な思いをさせた」
「あはは。別に、元カノが現れただけのことでしょ。そんな悩むこともないじゃない」
私の言葉に、成瀬さんが安堵したように表情を緩め、私の肩を抱き寄せた。
わかってる。
彼がとても不器用な人で、そして本当はとても優しくて愛情深い人なのだとわかってる。
私のことを大事に思ってくれている、その気持ちをもう、疑うつもりもないし。
自分の気持ちにも、もう気付いてる。