副社長と愛され同居はじめます
「え……きゃあっ?!」


匂いの元を辿って俯くと、ドレスの膝の高さ辺りの布地が、ジリジリと焼け焦げている。
隣のロッカーの前で、煙草を吸いながらスマホを弄っていた彼女がニヤニヤと笑いながら私を見ていた。


カチン!
と、瞬間的に頭に血が上った。


だけど今も少しずつ焦げの部分を広げているドレスをそのままには出来ない。
唇を噛み締めながら、とりあえず手荷物を全て抱え更衣室を飛び出して洗面所に向かった。


水に濡らせば、火はすぐに消えた。
だけど、拳ほどの穴の開いてしまったドレスを、着るわけにはいかない。


ウェイターに手荷物を預けたついでに、ドレスの被害状況を見せながらドレスの貸し出しをお願いする。



「それは勿論構わないけど……また随分大穴開けたね。ヒナタちゃん煙草吸うっけ?」

「私じゃありません!」



いらっとしてつい、語気を強めてしまう。
その言い方で何があったか薄々察することができたんだろう。



「あー……、女の子、鬱憤溜まって来てるからね……」

「……わかってます」



鬱憤、というより私に対する反感だ。
このご時世に、お客様一人捕まえることがどれだけ大変か、皆身に染みてよくわかっている。


だからこそ私みたいなのが許せない、それは仕方ないことだと思う。
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