副社長と愛され同居はじめます
「なんだそのドレスは」
店の借り物のドレスを見て、成瀬さんはその美しい柳眉をひそませた。
「焼け焦げました」
「……また嫌がらせか」
「まあ……そんなところで」
「女の小競り合いはくだらないな」
そう言うと、ふ、と彼は溜息を落とす。
そしてゆったりと視線を巡らせた。
「どこにいる?」
「今はここには居なくて控室に……って言いませんよ! 告げ口みたいじゃないですか!」
「告げ口の何が悪い?」
「え? 何が、って」
「弱い者が強い者に力を借りることの何が悪い? 足りない部分は補い合うものだ」
この人はたまに、独特の持論を展開する。
いや、持論事態はそう独特でもないのだけど、当てはめるパターンが独特というか。
普通この展開でその理屈は出てこないな、というパターンで出てくる。
しかも自信たっぷりに揺らぐことなく言い切るものだから、なんだかこちらが自信がなくなってくる。
「それは確かに、そうなんですけど」
「けど、じゃない。そうなんだ」
「でもなんか嫌なんで言いません」
「……小春は律儀だな」
いや、律儀っていうか。
うーん。
なんかちょっと、やっぱりこの人ズレてる。