副社長と愛され同居はじめます
くく、と喉を鳴らして笑い、グラスを傾ける。
その目元に今日も色濃い疲れが見えた。


この人確か、20代後半くらいだったよね。
貫禄のせいもあるかもしれないけど、疲れた顔とかちょっと老けて見える。


まあ、そういうのも渋みが増すというかなんというか、結局イケメンって得だなってくらい絵になるわけだけれど。


色々と、限界が見えている。
この店にも私にも、成瀬さんにも。



「成瀬さん。今日はお時間ありますか」

「あるからここにいる」

「いえ、そうじゃなくて。……お店の、後です」



言葉にしてから少し、どきどきして緊張し始めた。
これではまるで、私の方からアフターをおねだりしているようで。


それがどういう意味に受け取られるかは、成瀬さん次第。


成瀬さんの目が、まっすぐに私を捕らえ持っていたグラスを置いた。
その手がそのまま、まっすぐ私に伸びて。


グラスで冷えた指先が、頬を撫でた。



「構わないが」

「ありがとうございます」

「小春の為なら、いくらでも」



うわあ。
見事に、貞操の危機的展開に、受け取られた気がする。

< 41 / 129 >

この作品をシェア

pagetop