副社長と愛され同居はじめます
クラブミュゼル。
縁あってお世話になることになったこの店は、高級クラブほどではないけど中堅クラスの中では売上もよく客足も良い方らしい。


客層もそこそこ。
たまにぽろっと芸能人が来るらしい。


らしい、らしいと全部が曖昧なのは私がまだこの店についても業界についても余り知らなくて、殆どが人伝の情報だからだ。
この業界でバイトをするのも初めてだし、今のところはヘルプで呼ばれては先輩の仕草を見て勉強し、愛想笑いをして場の雰囲気を壊さないように努めるのに精いっぱい。



「失礼します。ヒナタです」



呼ばれたテーブルは、マナミさんのところでほっとした。



「まだ新人なの。可愛いでしょう」



中には意地悪な先輩もいるけれど、マナミさんは何も知らない私に色々と教えてくれた親切な人だ。
テーブルには男の人が二人、マナミさんがちらりと目線で示した辺りに、一礼をしてから腰かける。


マナミさんの隣には年配の、やや恰幅のある男性がいる。
私が隣に座ったのは三十代くらいの男性で、多分取引先か部下か、そのどちらかだろうか。







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