副社長と愛され同居はじめます
「まだ起きてたのか」
リビングに入ってきた成瀬さんが、私を見て目を見開いた。
言われて気付く、もう深夜近い時間だということに。
ってか、寝れるわけないよね。
と、無神経な成瀬さんにカチンときた。
一瞬、聞くのが恐ろしいとか思ってたか弱げな私はどこへやら。
「寝れるわけないよね」
びしっと言葉のままにそう言うと、ぐっと喉を詰まらせたのは彼。
「今日は? 私の機嫌取りに薔薇を用意する暇もないくらい忙しかった?」
「わかった。今すぐ薔薇を、」
「薔薇が欲しいって言ってるんじゃありません!」
むす、と不機嫌な彼を、私は更に不機嫌な顔で睨んだ。
「機嫌取りをしなければいけないようなことはしていない。だから用意しなかった」
「じゃあどこに行ってたんですか? 昼からずっとはぐらかされてる気がするんですが」
「仕事」
「じゃあなぜ秘書の私が置いていかれて何も聞かされてないの。成瀬さんのスケジュール管理は私がしてるのに」
見え透いた嘘を、と呆れてしまう。