縁に連るれば
「え、佐平次じゃないでしょう、妃依ちゃんは!なんて突飛な話をするんです」


「まあ似ても似つかねえやな。佐平次は居残りが生業って奴だが、ひよこは居てもふらふらしてるしな」


「妃依ちゃんは居残り稼業でも“流浪人のタダ飯食らい”なんかでもないですよ」


「何もそこまで言ってないぞ……。だが、あいつの身の上はよく知らないだろ?罪人ではなさそうだが」


「ぐ……ごもっともです」



もっともすぎて何も言葉が出てきません、土方さん!

と、ゆっくり俯く。


基本的なことも知らぬまま、ただ信じすぎているだけだ。

気になっているということは、もうそれは認めざるを得ないが。


だからこそ、彼女の今後の身を案じてる。


御陵衛士に関係する人間が俺の周囲を嗅ぎ回っていたとしたら、妃依ちゃんは排除対象になりかねない。

俺をたぶらかしている、とか言って、消すかもしれない。

よもやそんなことにはならないだろうけど、先日の中村君の言葉も気になるところだ。



「ですが副長。提案といいますか……お願いが一つあります。それが今日お呼びした本題です」


「ほう。なんだ」



顔を上げて、横に座る土方さんを見る。

気づけば、いつの間にか“ケンキチさん”こと山崎さんはいなくなっていた。
気を遣ってくれたのだろうか。

それに土方さんもうどんを平らげている。


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