【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
「ずっと、大事にしてくれてた人がいたから、ひとりになるのがすごく怖くなってるだけ。
だから夕ちゃんに、別れようって言えないの」
「………」
「恋愛はお休み期間があってもいいんだよ」
ずっと恋愛してなくてもいいの、と。
まるで人生の先輩かと思ってしまうような言葉をぽんぽん出してくるかのちゃんに気圧されながら、甘い香りのする妹の髪に顔を寄せた。
「……かのちゃんはお休み期間なの?」
「へっ……わたし……?」
「そう。恋したいっていつも言ってるから」
いまはしてないの?と何気なく聞いたはずなのに、身体を離してみたら真っ赤な顔をしているかのちゃんに、目を見張る。
なにこの子……めちゃくちゃかわいいんですけど……!
「す、好きな人ならずっといるもん……
い、いるけどぜーったい言わない!」
「まあ、地元の子ならみんな知ってるものね」
「バレちゃうから絶対言わない!」
……あらあら、必死になっちゃって。
思わずからかいたくなってそんなに好きなの?と尋ねてみたら、真っ赤な顔のまま睨まれた。
「っていうかおねーちゃんさっきまで泣いてたじゃん……!
なんで急にわたしのこと揶揄えるぐらい元気になっちゃうの!?」
「ふふ、女の子には恋バナっていう栄養補給が必要なのよ。
……話聞いてくれてありがと、かのちゃん」