祐也と私と一平先輩
先に口を開いたのは祐也だった。


「あいつのどこが好きなんですか?」


「どこ?」


一平の口元がゆがむ。


”愚問だな”一平はそう思ったに違いない。


祐也はとっさに一平の表情を読み取ると、そう感じていた。



やっぱり俺は焦っている。

悔しいけど、この人に圧倒されている。



祐也は自分に自信があった。

常に学年トップを走り、友達との討論にだって負けたことがない。


なのに、今の自分はどうだ?


たいして会話をしたわけでもないのに、自分の無能さがすでに露呈されているじゃないか。

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