祐也と私と一平先輩
────4階に人の気配は全くなかった。


この階にあるのは、生徒会室、化学実験室に物理実験室。

それと技術工芸室に作法室などで。


授業時間は賑やかなはずだけど、
放課後の今、むしろ生徒がいるほうがおかしい。


あたりはシンとしてちょっと怖い。


”ヒタヒタ”と廊下を歩くたびに、上履きの底のゴムが音を立てるのが不気味だった。



ひと気のない学校ってマジやばい。


ふと小学生の時に読んだ『学校の怪談』を思い出す。


どうしてこんな時に限って思い出すのっ!

気持ちとは裏腹に異常に冴えた頭は記憶を蘇らせてしまう。



『人食い教室』
....教室に迷い込んだ生徒をドンドン食べてしまう。
確かそんな話だった。



バカバカしいと思いながらも、一気に恐怖が押し寄せてくる。

だって幽霊も出そうな雰囲気なんだもん。


は、早くカメラを探して帰ろう。

無意識に足が速くなっていた。
< 48 / 346 >

この作品をシェア

pagetop