ふたつ減って ふたつ増える
お姉ちゃんの大泣きは、例のカプセル豆まき大晦日以来だったから驚いた。
タマも驚いてお姉ちゃんの膝から逃げてしまい
お姉ちゃんは「ハグされたかった」って泣きわめくから、私はそっとお姉ちゃんの背中に回り、甘えるようにペッタリくっつく。
あったかい。
お姉ちゃんの泣き声が止まり嗚咽に変わった。
お父さんが出て行った時
お姉ちゃんはどんな気持ちだったのだろう
私は今
あの時のお姉ちゃんと同じ歳になった。
複雑なお年頃ってヤツだったと思う。
「ぎゅーってハグしてあげる」
昔よくお姉ちゃんがハグしてくれた。
お母さんが仕事で留守をして寂しかった夜、私が泣き止むまでずっとハグしてくれた。
そして意味不明なおとぎ話をしてくれた。お姫様が出て来て仮面ライダーにさらわれて、ジャニーズ軍団に助けられてラストは松潤とお姫様が結婚するおとぎ話。私はそれが大好きだった。
「また、家族が減るが寂しくないの?」
もう一度聞かれて
私は「寂しいよ」って答えてお姉ちゃんを強く抱きしめた。
「寂しいけど幸せになれるんだよ」って私が言うと
「幸せだけど寂しいよね」ってお姉ちゃんが言う。
幸せと寂しさは全然違う言葉だけど
裏と表で繋がっているのだろうか。