ふたつ減って ふたつ増える
いやいや
ちょっと待ってよ。
なんだかなー
せっかくお姉ちゃんと覚悟を決めて嫁に出したのに。お金持ちのマサヒコさんと、幸せに高級マンションで暮らせばいいのに結局……隣に住むなんて
まったく本当にお母さんったら
もう
「どーしょーもないね」
私が言いたい言葉をお姉ちゃんが笑って言ってくれた。
本当にどうしようもない。
どうしようもないぐらい
私達は家族なんだ。
「隣は松潤じゃなかったか」
「何の話?松潤来るの?ツアーあるの?ねぇカブのニンニク漬けないの?」
「先に引っ越し終わらせなさいよ」
「全部指示してきたから大丈夫。コーヒー飲んだら行く。マサヒコさんも美羽の隣に座ったら?」
目の前で広がる懐かしい会話を聞きながら
私は嬉しくて「どうぞ」と隣のイスを手で指すけれど
私の隣にはタマが座ってる。
ここは彼女のお気に入りの指定席
タマはうっすら目を開けてから
猫なのに狸寝入りで身体を丸めて目を閉じた。