藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)

すると少し困った表情をしながら

「気持ち良さそうに眠っている三宅を見ていたら
何だか……無性に描きたくなっただけだ。
いらないなら……捨てろ」

そう言うとスケッチブックを閉じて
立ち上がってしまった。

「夕食なら義母さんが作ってあるから
食べにおりて来い」

藤沢先生は、立ち去ろうとする。

あ、待って。行っちゃう……。

私は、咄嗟に先生の服を引っ張った。

「なんだ……?」

どうしよう。
勢いで掴まえてしまったけど理由がない!!

私は、焦りと気持ちがテンパり
ありのままのことを口走ってしまった。

「だったら、私を絵のモデルにして下さい!!」

「はぁっ……?」

自分でも何を言っているのだと思う。
何故だかそう口走ってしまった。

でも気持ちは、理由は何でもいいから先生に
また絵を描いてほしかった。

私がモデルにして
先生が絵を描いてくれるなら 
それでもいいと思えてくる。

「三宅。お前……自分が何を言っているのか
分かっているのか?絵のモデルって……」

「変なことを言っているのは、百も承知です!
でも私をモデルにして、また絵を描いてくれるなら
私は、何度でもモデルになりますから!!」

もう半分、自棄になっていた。

< 23 / 91 >

この作品をシェア

pagetop