姫、私は誓います。
酒場へ着くと、そこにいた住民全てが看板娘の死を悲しんだ。あの時の俺たちと同じように絶望と一緒に泣いていた。クラウドのあの子を隠すために作った嘘なんて聞く耳を持たなかった。

「お気持ち、お察しします。ラークはどうしますか」

一緒に家へ戻るかと聞いてきたクラウド。でも、看板娘の友人が俺に掴みかかってきて離してくれなかった。

「なんで助けなかったんですか!彼女はこれからだったんですよ!まだ・・・生きられたのに・・・!」

「お気持ちはお察しします。ですが、我々が着いた時にはもう・・・」

クラウドが優しく宥めて掴んだ腕を離すよう促すが、今度は父親が俺を殴ってきた。何度も何度も、まるで無力さをぶつけるかのように殴っていた。自分もそうであったと思うと抵抗する気になれなかった。
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