姫、私は誓います。
無名では呼びづらい俺を彼はその大切な名で呼んでくれた。いつまでも勘違いさせていたらバチが当たりそうな優しさ。踏みにじらないように気を付けなければならない。

「どっか痛い所とか無いか?」

首を振る俺。申し訳無くて何と言って良いのか分からなかった。でも、一つだけ確かなのは他人では収まらない彼への思いが俺の中にある。彼とどこかで会ったとでもいうのであろうか。無かったとしても、巡り合う運命だったとでも言うのだろうか。

「どんな人でした?」

「ラークペイか?・・・まぁ、行動はどうであれ良い奴ではあったな」

もしラークペイという人物が本当に俺だったとしたら。もしかしたら思い出話を聞いているうちに何か思い出せるかもしれない。そうじゃなくても、何か手掛かりが見つかるかもしれない。
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