姫、私は誓います。
「あいつは俺と同期で兵士をしていてな。その時使えていた姫に恋をして、十何年経った今でもその姫を思い続けているような一途な奴だ」

兵士で姫に恋か。何の役にも立たなかったな。何も思い出せない。相槌を打ってみてはいるけれど、記憶を取り戻す手掛かりにはなりそうにないな。

「ご飯、食べて」

「そういえばまだだったな・・・。食えるか?」

「そこまで弱っちゃいねぇよ、ジンルークさん」

「2週間も寝たきりだった奴がよく言うぜ」

何か、何か思い出す方法はないのか。何でも良い。自分に関わる何かを少しでも良いから思い出す事が出来たなら、二人に迷惑をかけなくて済むのに。
< 215 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop