姫、私は誓います。
二人は一週間、そのまま目を開けてはくれなかった。何度声をかけても、何度ゆすさぶっても開けてはくれなかった。その一週間、部屋の空気は重たくて息が詰まるくらい苦しかった。人が命を落とす重大さを僕は仲間を失う事でやっと理解できた。こんなに辛くて無力だったんだ。

「あれ、生きてる。姫は?」

「まだ寝てる」

ケイが目を開けてそう言った。時刻は夜明けの4時。他の仲間は寝ていた。

「ねぇ、何で生きてるの。てゆーかクウのあの手、どうしたの。なんで小さくなってんの」

ケイは自分が亡くなった事を知っていたんだ。理解した上で目を閉じたんだ。クラウドはそれを知っていながらケイを治した。ケイの吸血鬼の部分を排除し、ハーフではなく一人の人間として生かす事によってケイの命を繋いだ。
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