姫、私は誓います。
「姫、早く起きないかな~。お腹空いたー」

姫、早く起きないかな。いつもみたいに笑ってくれないかな。大丈夫だって抱き締めてくれないかな。
姫の下を離れて旅をして分かった。姫の行動一つ一つにどれだけ励まされていたのか。皆が叶うはずがない恋を姫にする理由が今なら分かる。
ねぇ、姫。あなたは僕を癒しと言った。でも、それは違う。僕が癒しなんじゃない。あなたが癒しなんだ。あなたに仕えた兵士たちがあなたに恋をして、あなたに仕えたメイドたちがあなたの言う事を聞くのはあなたがそれくらいの価値がある人だから。僕とは比べ物にならないほど価値のある人だから。
僕はあなたを愛した。そして、助けたいがあまりに仲間を見殺しにした。ひどい人だと怒ってください。僕を強く叱ってください。あなたを助けるとはいえ、あなたが悲しむ事まで考えていなかった。あなたは僕を許してくれますか。自分の事しか考えられない未熟者でもいいですか。
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