姫、私は誓います。
「首、足首、手首ですか?」

「脇の下も良いって聞きましたよ?」

「いけません・・・、姫様に移してしまっては・・・」

体を起こす力すら無くなっていた私は、座ろうとしても四方に倒れてしまっていた。そんな私を抱き締め、ちゃんとベッドに寝かせてくれた姫の体は温かくて安心できた。

「寝てなきゃダメです。寝て、ちゃんと治してください」

硬くて冷たい鉄の床に膝を着きながら私の手を握る彼女に安らぎを感じた。そして、私はそのまま眠りに着いたんだ。

「これは・・・」

その後、3日くらいの記憶がふわふわとしていた。ただ姫が頑なに私のそばを離れないでいてくれた事ははっきりと覚えていた。
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