街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



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それから散々4人で海で遊んで、砂浜に寝転んだり、運ちゃんに写真を撮ってもらったり

超リア充な俺らを満喫した。


で、次は智樹が俺を呼び出した。
こいつの呼び出す話はいつも大したことないから、こいつのはそこまで心配しなくてもいいから楽なんだけど。


「あのさ、大翔」


「……なに、俺に告んの?」


「……実は俺、大翔のこと大好きなんだよ。」


「知ってる。で、本題は?」


「あぁ、うん。そうだよな。」


・・・いや、突っ込めや!!
これ他のやつが聞いてたら完全に危ないやつじゃねーかよ!


「……俺、告るわ。青木に。」


「…えっ、まじで?本気で?」


「まじで、本気で。
なんかさー、やっぱああやって遊んでると楽しくて仕方ないんだよ。
普通に可愛いしさ。

なんつーか、見てるだけじゃダメなんだなーって思った。」


「…そ。頑張れよ。」


「おう。
……大翔も、後悔する前にちゃんと言えよ。仁科ちゃんに。
今がずっと続くわけじゃねーんだから。

じゃ、戻るわ。」


珍しく真面目に智樹にそう言われて、なぜか俺は動けなかった。



━━━今がずっと続くわけじゃない。



そんなことはわかってる。
だけど…だけどさ、言ってしまったらなんとなく、今が壊れそうな気もして

未来なんて知りたくても知ることもできないから
その先に何があるのか怖くてたまらなくなるんだよ。


明日がどうなるかなんて誰にもわからなくて、それが面白くて
その明日のためにみんな生きてんのかもしれないけど

でも、先がわからないからやっぱり俺は前へ進む一歩を踏み出す勇気がない。



本気で心優を好きになってしまったから
前はあんな簡単に言えた「俺と付き合って」なんて、容易にはもう言えなくなってしまった。

その先に何があるのかを知るのが怖くて怖くてたまらないんだ。



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