街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
歩いて数分、俺らが教室につくと、すでに心優はもう席に座って本を読んでいた。
「ほら、いんじゃん。誘ってこいよ。」
「わかってるわ。」
そういって智樹は先に教室へ入り席に向かったから、俺もそれを追いかけるように智樹の後ろから教室に入った。
「大翔おはよー!」
「おう、はよ。」
クラスメイトの挨拶に適当に返しつつ、智樹の後ろを歩いて席へと向かった。
いつもは俺が前だから変な感じ。
「仁科ちゃん、おはよう!」
智樹の最初の声はこれ。
正直、クラスのやつらみんな智樹が心優のこと好きだってわかってんじゃねーかな。
「おはよう。」
そんなやり取りをしてるうちに、俺はもういつも通り席に座り、今日も秋なのにまだまだ暑くてすぐに窓側に背中を向けて二人のやり取りを見ていた。
「ね、たまには俺と遊びいかない!?
俺映画のタダ券あるんだよね!」
お、智樹ちゃんと誘ってんじゃん。
こいつが女と…
……変な感じ。
「行かない」
……心優も即答かよ…
なんで智樹にはちょい冷たいかなぁ。
「えー、なんでー?」
「理由を言ったところで結果は変わらないから。
それともはっきり智樹が嫌いすぎて一緒にいたくない、とでも言ってほしいの?」
……智樹、撃沈。