街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「…お茶」
「は?」
「お茶くれよ。」
「はぁ?なんで私が。
買ってくればいいでしょ。」
「もう無理。疲れた。」
「ったく…
水筒しかないからね。」
なんだかんだいいつつ、心優は俺に水筒を差し出した。
やっぱ、こいつは根っこの部分は本当に優しいやつなんだろうな。
そんな優しいやつだから、今でも消えない癒えることない傷みを抱えて苦しんでるんだろうな。
「…サンキュ。」
「別に。
それより、私に用があって来たんじゃないの?」
「あー、そうそう。
俺、お前に言いたいことあって来たんだよ。」
「なに?」
お茶も飲んで息も整えて汗も拭いて、俺は心優の方に体を向けた。
「…なに」
「俺お前のこと好きだわ。」
心優もこっちを見て、俺と目を合わせたところで、俺は心優にそう伝えた。
「…は?」
……思いっきり怪訝な顔をされたけど。
ま、それは想定範囲内だな。