5年3組パラダイス
そして僕たちはコリンちゃんとしばらくお話をしていた。

リスたちにとっては、クルミの実を自分で殻を割らずに食べる事は本当はいけない事なんだって。その理由は、クルミとか、硬いものをかじる事はコリンちゃん達にとっては日常の事なんだって。そして、物知りのかつお君の辞書によると、リスはゲッシモクという種族で、僕たちがほっといたら爪が伸びてくるのと同じように、ゲッシモクという種族はほっといたら前歯が伸びてきちゃうんだって。それを何か硬いものをかじる事により、伸びてくる歯を削ってるらしいんだ。

『すごい!そんな意味を考えてかじった事なんてないからビックリだわ。』
『本能って言ってね、考えなくても生まれた時から持っている知識なんだよ。例えば生まれたばかりの赤ちゃんが、教えなくてもお乳を飲むのと一緒で、生きるために持って生まれた知識なんだ。それが本能っていうの。』
『カツオ君って、すごく物知りなのね。』
「そう、学校でもテストで100点ばかり取ってた」
『学校?テスト?』
「学校というのはね、人間達が、広い世界の事とか、大人になって生きてくために必要な事とかを学ぶ場所なんだ。そして、どれくらい覚えたか、ボク達にそれらを教えてくれている“先生”という大人の人間に問題を出されるんだ。どれくらい答えが当たっていたかで点数が付けられて、全部あたったら100点ってこと。わかるかなー?」
『うーん、わかったような、わからないような・・・。でも凄い事なのね?』
「うん、凄い事。かつお君は小さい頃から本当に凄くて、僕の自慢のお友達だったんだ。体が丈夫じゃなくて、学校も殆ど行かなくても勉強が沢山出来て、何でも知っていて、お花とか、小鳥とか、うさぎとか、自然界の全部とすぐに友達になれて。僕が今、こうしてコリンちゃんとお話できたのだって、かつお君がその方法を教えてくれたからなんだよ。」
『そんな、すごくなんかないよ。将太君はボクの一番苦手なかけっことか、水泳とか、スポーツなんでも得意で、通信簿は体育はいっつも10ばかりなんだ。』
『難しくて、よくわかんないけど、お互い尊敬しあってるのね。』
『そう、なのかなぁ・・・?』
『そう、素敵なカンケイね。』
『えへへ、なんか褒められちゃったのかな、ボク達?』

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