甘いあまいイチゴの香り

まだ25歳だけど、あっという間に30歳になってしまうんだろうな。


はぁー。
仕事しよ。

いつまでも考え事をしてたら仕事にならないよね。

私は落ち込みかける気持ちを、どうにか仕事に向けた。



一度集中すると、朝考えていたことなんて心の片隅に追いやられてどんどん仕事をこなしていく。


気がつくと昼休憩に入っていて、私もあわてて持ってきた弁当を持って休憩室に向かった。
もう昼休憩も半分を過ぎているからか、閑散としている室内に入ってお弁当を食べていると、ガチャっと扉が開く音がした。

特に気にせずに箸を進めていると、足音私の前で止まったことに気がついて視線を上げると一馬くんがコーヒー片手に座るところだった。


「お疲れ様です。」

誰が聞いてるかも分からないから、念のために上司に対する対応で挨拶をすると、片眉をあげて怪訝な顔を向けてくる。

「お疲れ様。別に休憩なんだから普通に話せよ。
朝言ってたことだけどさ。さくら、おまえちゃんと冬馬に気持ち伝えたのかよ。
まぁ、長年の付き合いと思いが邪魔してんのかもしれないけどさ、言わなきゃ進まねーぞ。」


「わかってる。ちゃんと言わないといけないのもわかってるよ。」

軽くタメ息を吐いて、食べ終わったお弁当箱を片付ける。



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