君の本気に触れた時…
先輩と一緒に飲むことなんて同じ課だった時の飲み会以来だったし、こんな風にプライベートで飲むことなんてなかった。

だから初めは緊張していたけど、松本さんもノリが良くて楽しい人だったから楽しい時間を過ごすことができた。

私の感では松本さんは、聡子の事が気に入ったんじゃないかと思う。

帰りは聡子と同じ方向らしい松本さんが、タクシーで聡子を送ると言っていたし、聡子を見つめる松本さんの目がどことなく甘く見えた。


聡子も多分、私を先輩と二人きりにしてくれるために協力してくれたのか松本さんの好意に甘えて二人はタクシーに乗って帰って行った。

取り残されて自然と二人になってしまった私たち…。


「先輩は…どうされますか?私は電車で帰りますけど…。」


緊張しながらも彼にそう声をかけると


「じゃあ、俺も。確かおんなじ方向だったよな?もう遅いし、送ってくよ。」

「え…そんな悪いですよ、うち、割と駅から近いんで大丈夫です…。」

「ダーメ!!最近、色んな事件も多いし俺が心配だから、ちゃんと家まで送らせて。」


そんな風に言われたら断る理由ももうなくて、私も素直に頷いていた。

私と先輩の家は一駅しか離れてなくて、歩いても行ける距離だと今日初めて知った。

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