君の本気に触れた時…
「おはようございます…。」


いつもの朝と同じように、電車を待っている私の隣に立った彼が声をかけてきた。

だけど一つだけ違ったのはその声のトーンで…明らかにいつもより低かった。


「おはよ…。」


チラリと隣の彼を見上げると、機嫌が悪いというよりも何だか落ち込んでいるように見えた彼の顔に…不意を突かれてしまったせいだろうか、ドキッとしてしまった。


「昨日は…ずっと二人でいたんですか?」

「ち、違うよ。聡子とご飯食べに寄ったらそこで偶然先輩たちに会ったの。…それで同じ方向だったから送ってくれただけで…。」

「ふーん、理央先生の顔…やばかったから。何かあったのかと思っちゃいました。」

「え?私の顔…そんなにヤバかった?発情期の犬並みに?」


私の発言に彼の顔がビックリした顔に変わる。


「発情期って…何すかそれ。だけど…。」


そこまで言って更に距離を近づけてきた彼が


「理央せんせーって…発情期なんですか?」」


耳元で意地悪にそう囁いた彼に、思わず耳を抑え違う!と否定したけど…。

彼はそんな私を見て隣で可笑しそうに笑っていた。

そんな彼に今日も振り回されそうな予感…しかなかった。
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