夢物語【完】
数種類の野菜で盛りつけられたサラダは見たことない野菜もあって、女性向けに星の形に切り抜かれた大根や花のように盛りつけられた人参に「食え」と言われるまで見入ってた。
いただきます、と口に運んで十数分後にはメインにまで食べ進めてた。
店長を無視して食べてたからハッとして顔を上げると、いつから見てたんかジーッと凝視されてた。
がっつきすぎた?と不安になったらフッと口先を上げて「食うの好きだろ」と言われてしまう。
続けてやってきたメインのパスタに手を伸ばそうとしたとき、
「おい、鳴ってる」
カバンに入れてた携帯が鳴った。
完全にパスタに魅入ってたあたしは着信音に気付かずで店長に言われるまで気付かんかった。
「え、あ・・・ん?高成?」
人と食事に来てて、しかも食事中に電話に出るなんて行儀の悪いことをするようなことはしたくないけど、電話の相手は最愛の人、高成。
出たらあかんのはわかってるけど出たいってのが乙女心ってもん。
チラッと店長を見ると出ろよ、と面白そうに言うから遠慮なく出た。
「もしもし?」
店長が目の前で見てるのが恥ずかしい。
久しぶりの電話ってのもあるし、確実に店長との対応の違いがある自分がまた恥ずかしい。
声とかワントーン高いし。
《・・・涼?》
電波が悪いのかちょっと途切れ途切れに聴こえる声。
そのせいか声のトーンが少し低いような気もする。
関係ないんかもしれんけど。
「高成?どうしたん?」
《今、どこいんの?》
「え、ご飯食べにきてる」
《誰と?》
誰と...と聞かれると答えれん。
だって相手は店長。
高成が一人で行くなって言うたCD店の店長。
正直に言うて怒られんわけがない。
確実に怒られる。
《涼?誰といるの?》
こうやって黙ってることが一番あかんってわかってんねんけど言い出せんのは後ろめたい気持ちがあるからかもしれん。
強引に連れてこられたとはいえ、車に乗り込んだのはあたし。
ほんまに嫌なら拒否してきたらよかったはずやのに、そうせんかったあたしが悪い。
気まずくなって目の前の店長に目を向けるとクスクス笑ってる。
それであたしは気付いた。
これは全て店長が仕組んだ“罠”やってこと。
証拠はないけど、ここぞというときに働くあたしの第六感がそう言うてる。
あたしの視線に気付くと面白そうにニヤニヤする店長にイラッとした。
店長が仕組んだことなら、どっちみち怒られる。
なら正直に言うたほうがいいと思ったあたしは白状する。
「店長、・・・中塚さんと来てる」
その言葉を聞いてまた吹出し笑う店長にイラッとする。
《なんで一緒にいるの?ダメって行ったよね?》
「…うん」
裏高成が出てないところを見れば今は怒りを抑えてるらしい。
でも言い方は完全に怒ってて怖い。
新幹線で2時間も離れた距離で電話してるのに今にも背後にいそうなくらいの恐怖感。
運ばれてきたメインのパスタに冗談でも手をつけれんくらい縮こまるあたし。
それを見て笑いつづける店長。
《どうしてそうなったの?》
来たっ!!と思った。
これが始まれば、あたしに逃げ場はない。
高成が納得するまで問い詰め続けられる。
あたしは裏高成よりも、この時の高成が一番怖い。
いただきます、と口に運んで十数分後にはメインにまで食べ進めてた。
店長を無視して食べてたからハッとして顔を上げると、いつから見てたんかジーッと凝視されてた。
がっつきすぎた?と不安になったらフッと口先を上げて「食うの好きだろ」と言われてしまう。
続けてやってきたメインのパスタに手を伸ばそうとしたとき、
「おい、鳴ってる」
カバンに入れてた携帯が鳴った。
完全にパスタに魅入ってたあたしは着信音に気付かずで店長に言われるまで気付かんかった。
「え、あ・・・ん?高成?」
人と食事に来てて、しかも食事中に電話に出るなんて行儀の悪いことをするようなことはしたくないけど、電話の相手は最愛の人、高成。
出たらあかんのはわかってるけど出たいってのが乙女心ってもん。
チラッと店長を見ると出ろよ、と面白そうに言うから遠慮なく出た。
「もしもし?」
店長が目の前で見てるのが恥ずかしい。
久しぶりの電話ってのもあるし、確実に店長との対応の違いがある自分がまた恥ずかしい。
声とかワントーン高いし。
《・・・涼?》
電波が悪いのかちょっと途切れ途切れに聴こえる声。
そのせいか声のトーンが少し低いような気もする。
関係ないんかもしれんけど。
「高成?どうしたん?」
《今、どこいんの?》
「え、ご飯食べにきてる」
《誰と?》
誰と...と聞かれると答えれん。
だって相手は店長。
高成が一人で行くなって言うたCD店の店長。
正直に言うて怒られんわけがない。
確実に怒られる。
《涼?誰といるの?》
こうやって黙ってることが一番あかんってわかってんねんけど言い出せんのは後ろめたい気持ちがあるからかもしれん。
強引に連れてこられたとはいえ、車に乗り込んだのはあたし。
ほんまに嫌なら拒否してきたらよかったはずやのに、そうせんかったあたしが悪い。
気まずくなって目の前の店長に目を向けるとクスクス笑ってる。
それであたしは気付いた。
これは全て店長が仕組んだ“罠”やってこと。
証拠はないけど、ここぞというときに働くあたしの第六感がそう言うてる。
あたしの視線に気付くと面白そうにニヤニヤする店長にイラッとした。
店長が仕組んだことなら、どっちみち怒られる。
なら正直に言うたほうがいいと思ったあたしは白状する。
「店長、・・・中塚さんと来てる」
その言葉を聞いてまた吹出し笑う店長にイラッとする。
《なんで一緒にいるの?ダメって行ったよね?》
「…うん」
裏高成が出てないところを見れば今は怒りを抑えてるらしい。
でも言い方は完全に怒ってて怖い。
新幹線で2時間も離れた距離で電話してるのに今にも背後にいそうなくらいの恐怖感。
運ばれてきたメインのパスタに冗談でも手をつけれんくらい縮こまるあたし。
それを見て笑いつづける店長。
《どうしてそうなったの?》
来たっ!!と思った。
これが始まれば、あたしに逃げ場はない。
高成が納得するまで問い詰め続けられる。
あたしは裏高成よりも、この時の高成が一番怖い。